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平成30年 仕事始め式における学長メッセージ

  

 明けましておめでとうございます。新年の仕事始めにあたり,ご挨拶を申し上げます。
 仕事始めの爽やかな朝を迎え,広島,庄原そして三原の各キャンパスにおきまして,新たな平成
30年の業務活動が一斉に開始しました。

 例年,私はこの場におきまして干支にまつわる話題から新年の挨拶を始めてきました。昨年は酉年,酉の漢字に氵をつけると酒ということからも分かるように,酉は果実が熟成する意味を持つ干支であることを引き合いに出し,酉年に始まった県立広島大学が,12年を経て豊穣の実りを産んでいるという意味合いのご挨拶を皆様にいたしました。

 ところで話はそれますが,ある方から干支で酉と言うことはおかしいとのご指摘を受けました。確かに調べてみるとそのとおりで,干支は子丑から申酉戌亥で終わる十二支と十干からなることが分かりました。この十干とは,「ひのえ」や「きのえ」さらには「みずのえ」「かのと」など併せて10種類からなりますが,この十二支と十干の組み合わせた年号を「干支」というのが正しいということでした。したがって今年は十二支では戌ですが,正式に干支と言うことで示すなら,「つちのえいぬ」と表現するのが正確であるということです。昔は干支でその年を表していたとのことですが,例えば,高校野球の会場となる甲子園は,甲は「きのえ」であり,甲子園の子は「ねずみ」,すなわち甲子園が創設された大正13年が「きのえね」にあたることに由来していることが分かりました。歴史で学んだ戊辰戦争の戊辰もその年の干支から命名されたということも容易に想像できます。

 干支について調べてみると,さらに私にとっての新しい知識を得ることができました。十二支と十干からなる干支は,60通りあるということです。組み合わせは1210ですから120通りと一見思ったのですが,60が全体の組み合わせの数となるのです。この理解に私はかなり時間を要しましたが,両者とも順番に並ぶと言うことと,1210の最小公倍数が60ということで納得できました。したがって60歳まで生きると全ての干支の組み合わせを経験したことになり,61歳からまた同じ順番で暦を繰り返すということで暦をめぐる,いわゆる還暦となるわけです。もう一度初めに戻る意味で,赤児からスタート。私は還暦に家族から,赤いTシャツをプレゼントしてもらいましたが,単に赤という縁起の良い色,そして長寿の祝いと受け止めていました。還暦をとうに過ぎた今になって,初めてその意味を理解することができました。

 干支の誤った使用を指摘された後,干支の持つ正しい意味,順列組み合わせの問題,そして還暦の意味,赤の羽織などを着る理由に至るまで,疑問は疑問を呼び,私なりのアクティブラーニングをとおし,幾つになっても知ることは楽しいということを実感させてもらいました。

 さて,話を戻します。干支はともかく,十二支では今年は酉の次の戌にあたりますが,戌という漢字は,年賀状などでしか日常的には目にすることが少ないかも知れません。部首(戈)は「ほこ」を表します。「ほこ」には戦闘用と農業用がありますが,戌は熟した作物を刃物で刈り取る農業用の「ほこ」を示します。つまり前年の酉年が収穫できる実った状態だとすれば,戌は収穫して作物を一つに束ねあげた状態を意味しています。

 この状況を,本学で言えば,刈り取った後の畑に立ち,どのような種を蒔くことによって次の実りある収穫をもたらすかを構想している情景に例えることができます。くしくも,私達は新大学開学を経て12年の齢を過ぎ,ここ数年,開学以来の教育?研究そして地域との連携活動を振り返りながら,現在,学部?学科等再編推進委員会の元に,それぞれ未来に向けて,3キャンパスの畑に新たにどのような実りを求めるかについて議論を進めているところです。そして今年こそが,その答えを学内外に発信する年にあたります。

  しかし,ここで私達が迷いを感ずることは何